リフォーム・修理の内容、工期、予算(費用・価格)等の基本データ
棟修理の方法は様々
予算をかけない方法も、ちゃんとあります
太田市 S様
「棟が曲がっていることに気が付いた」とのお申し出で下見に伺いました。
初期段階での手当てをすることができましたので、軽微な修理で工事完了しました。
今回の工事のポイント
以下がお客様のご要望でした
1棟が曲がってしまったように見えるのですが、心配なので一度見てください。
新築時には棟を真直ぐ積むので、曲がっていることは決してありません。真っすぐであるはずの棟が曲がってしまったということは何らかの原因があるはずです。問題が大きくならないうちに、きちんと手を打っておくと安心です。
2曲がっている鬼があるので、直してください
鬼瓦は棟の端部で棟瓦を挟みこんで固定したり、内部の泥を雨から守ったりする大事な役割を担っています。真っすぐについていることが、とっても大事です。
棟に関して修理前と修理後を比較してみました
うねっていた棟が真っすぐになりました。
- 修理前の棟
単に曲がっているというよりはS字型にうねっている、というイメージです。こうした形になってしまったのにはいくつかの原因が複合的に絡み合っていました。
- 修理後の棟
照りのある瓦ではっきりしませんが、真直ぐに棟を積み替えました。
その他曲がって付いていた鬼を付け直し、漆喰の剥がれた部分を補修しました。
曲がってしまった棟。 瓦屋根の棟の修理にあたり、作業の中からその原因を探ります。
棟瓦を結束する針金が切れてしまったこと

画像の中で赤丸で囲んでいるのが棟瓦を結束している針金です。その上の棟瓦は針金で結束されていません。
新築時には1本おきに棟瓦を結束したりはしないので、新築時には結束してあった針金が切れてしまった訳です。
結束していない棟瓦は、どうしても動きやすくなります。
特に2本、3本と続けて針金が切れている場所は特に動きやすく、数段積み上げられている棟瓦が途中の段で脱落してしまう、という状態を発生させる原因にもなります。
棟瓦を結束している針金が切れてしまう原因

画像の赤丸で囲んであるものはテレビアンテナから延びるケーブルです。
屋根瓦の上を固定せずに放置しておくのは不用心!という訳で棟瓦を結束する針金を利用にて固定しています。
よく目にする光景なのですが、実はこれは棟瓦を結束する針金が切れてしまう元になります。
地上波のデジタル化等に伴い、アンテナの交換など屋根に様々な業者が上げる機会が増えています。
棟の瓦を固定する針金は格好の道具なのですが、締め付けたり緩めたりを繰り返すと良くありません。
金属は曲げる行為を繰り返すと切れてしまいます。よく知られている金属疲労という現象です。
棟瓦を結束する針金を新しいものに交換しました

棟を積み替える作業の中で針金を全て新しいものに交換しました。
オレンジ色の丸を付けてあるのが新しい銅線です。
緩みなく銅線で結束した棟瓦は動きません。原因の一つを解決しました。
瓦屋根の棟の修理に携わって見えてきた2つ目の原因。瓦を固定する役割を果たす泥の使い方
もう少し多く泥を使うべき

画像は1番下の土台部分とその上の段を残して棟の撤去作業を中断した画像です。
2段目の上の泥は3段目の棟瓦を固定する役割を果たしていた泥ですが、途中に所々使われているだけです。
以前は棟瓦の両端が泥で固定されていれば棟瓦は安定する!という考えで、こうした施工も存在したのですが、現在では固定する面積が少ないと棟の耐震性が損なわれると、考えられるようになっています。
今回の修理では泥を所々ではなく1本につなげて棟を積んでいます。
瓦屋根の棟の修理での泥の使い方

棟の上に黒く細長く置かれているのは漆喰です。
今回は棟瓦を固定する際に漆喰を使って修理作業を行っています。
修理前は所々の泥が置かれていましたが、今回は1本につなげて漆喰を置いているので、それだけでも棟の強度は向上しています。
その他の屋根の修理です。鬼の付替え、漆喰の補修等、いずれも簡単な作業で済みました。
鬼と棟瓦の間に隙間ができてしまいました

棟が仕上がった状態では鬼と棟瓦はピッタリと接していて接点は漆喰処理もしくはシリコンでシーリング処理してあります。
S様のお住まいでは鬼が前に傾き鬼と棟瓦の間に大きく隙間ができてしまいました(赤丸部分)。
このことですぐに雨漏りするわけではありませんが、内部がむき出しになってしまっていることで、内部の棟を固定する為に使ってある泥が雨水に濡れて脆くなってしまうなどの為に棟が崩れやすくなることが予想されます。
そこで棟を一部撤去し、棟を積み替えて鬼を真直ぐ付け直しました。
漆喰がとれてしまったところを補修しました
S様のお住まいでは屋根漆喰の状態が比較的良好で、補修が必要な個所はそれほど多くはありませんでした。
ただし、画像のとおり修復が必要な部分については漆喰を補修しておきました。
竣工から年月が経過した段階での修理においては、泥が劣化して脆くなっている可能性があるので、新築時の漆喰がしっかりしている場合はなるべくそのまま残すようにしています。
- 補修前の漆喰
既に漆喰が剥がれて、中の泥がはみ出しています。
- 補修後の漆喰
施工時は中に含まれている炭素の影響で黒色ですが徐々に白っぽくなります。
工期、予算(費用・価格)等のまとめ
工事の内容
- 棟
- 曲がってしまった棟を積み替え、鬼も付け替えました。
漆喰が剥がれたところは補修し、針金が切れたところは新しいものと交換しました。
工期、工事費用等の内容
- 工期
- 2日間
- 費用
- 5~10万