リフォーム・修理の内容、工期、予算(費用・価格)等の基本データ
剥がれて垂れ下がってしまった上裏
軒先の瓦を一度撤去した後張り替えました
熊谷市 U様
お客様のお住まいは入母屋屋根。2階部分の4辺の上裏を全て張り替えました。
修理の際には無垢材を使って、立派なお住まいに相応しい仕上がりになりました。
今回の工事のポイント
お客様はこの様にお考えでした
1上裏が古くなって剥がれて垂れ下がってしまったので張り替えてほしい
修理前の上裏は薄いべニア板が張ってあったため、経年劣化で接着剤が効かなくなり剥がれてしまいました。修理に際してはこのようなことがないように厚さ12mmの無垢材を用いることにしました。
2瓦を撤去する際に雨漏りしないように作業してほしい
上裏を張り替える際には瓦、屋根下地、上裏の順番で撤去し、施工の際にはその逆の順番で仕上げます。したがって、ある程度の工期が必要なため雨漏り対策として工期を4期に分けて養生をし易くすることにしました。天気予報を参考にしながら雨が降らない期間を工事に充てて対処しました。
工事完了後の上裏です
今回もとってもきれいに仕上がりました。
- 修理前の上裏
上裏に張ってあったべニアが剥がれてしまい、垂れ下がってしまいました。
雨漏りなどには直接関係はありませんが、立派なお住いに似つかわしくない佇まいです。
- 修理後の上裏
無垢材で上裏を張りました。
最近では接着剤の性能が上がったため、合板の利用が増えていますが無垢材の場合は剥がれる心配は全くありません。
U様のお住まいでは、上裏を張り替えるために 瓦と屋根下地の一部、そして既存の上裏(こちらは全て)を撤去する必要があります。
瓦、屋根下地、上裏の順番に撤去作業を進めてゆきます
新築の際の施工順序は上裏、屋根下地、瓦の順です。撤去の際は逆に上から瓦、屋根下地、上裏の順に撤去してゆきます。
下の写真で2番目が屋根下地を撤去した状態の画像です。垂木の下に見えるのが上裏です。
3番目の画像は上裏を剥がした後の画像で、2階の屋根から下の様子が直接見えます。
この時垂木が2重になっているのが見えます。下の垂木の上に上裏を張ってゆきます。
- 瓦の撤去作業後
- 屋根下地の撤去作業後
- 上裏撤去作業後
Tips 垂木が2重になっている理由

U様のお住いの軒先は赤丸の板(45mm)と青丸の板(45mm)の2枚が重ねられ、合計で90mmあります。
この理由は軒先を厚く見せて豪華な仕上がりにする為です。
住宅の意匠は細かな細工を施すほど豪華(綺麗)に見えるため、注文住宅では軒先を厚く見せる手法が用いられることがあります。
通常は12mmの板が使われるだけなので、78mmの差があります。
詳細は割愛しますが、この78mmの段差があると雨漏りの原因になる為、段差解消の手段として垂木が2重に使われています。
この手法は神社やお寺などで良く用いられます。
上裏を張る作業は撤去するときの逆。上裏、屋根下地、瓦の順に施工します。
化粧垂木の上に上裏を張りはじめます

先ほどの垂木が2重になっている画像の内部を撮影しています。
重なっている垂木のうち、下側の黒ずんでいる方化粧垂木、上側のきれいな色の方を野垂木と言います。
この化粧垂木の上に上裏を張ります。
今回は上裏を張っている途中の画像が無かったので、長方形の上裏の材料を肌色のイメージ画像で表現しています。
今回は厚さ12mmの無垢材を使用しています。
屋根下地が完成しました。

この画像でよくお分かりいただけると思いますが、今回の上裏張替えに際しては、上裏を張り替える際に必要な部分だけに限定して瓦及び屋根下地を撤去しています。
そうすることで、修理に必要な費用を抑えることができるとともに、雨天の際の雨漏りのリスクを軽減しています。
瓦の復旧が終わりました。
厳密には完全に元の場所に戻すのは難しいですが、それに近い形に戻すことができたと思います。
「瓦の仕上がり具合」では上裏の修理で瓦等を撤去した部分を見渡せる角度から撮影しています。
唐草(お団子のような円形の部分が先端に付いた役物)がまっすぐ付いています。
「瓦をまっすぐに、そして平らに」の画像では桟瓦を撤去していない部分と1直線につなぐことができました。
事前に唐草の位置をマークし、瓦を葺いた後で1列ずつまっすぐにしています。
- 瓦の仕上がり具合
- 瓦をまっすぐに、そして平らに
最後に棟を積んで上裏の張替え作業は終了です。雪止めを付ける工事も追加でご依頼いただきました。
隅棟の積み替え作業です。

U様のお住いの屋根はお寺のように4隅が反り上がっています。これを棟が「照っている」といいます。逆に凸になっているものを「むくり」と言います。
一般のお住まいは直線形状ですから、これと同じにまっすぐに棟を積むことはできないので、なだらかな円弧を描くように棟を積みます。
どの程度の円弧を描くように棟を積むかについて決まりはありませんが、"お寺ほどでなくなだらかな曲線を描くように"位の気持ちで積むように心がけています。
雪止め設置工事です。

画像中央部やや右寄りの半円形の突起物が付いた瓦が雪止めです。
一般的に2階の屋根には付けますが、1階の屋根に付けることは稀です。
しかしながら、2014年の大雪以来、1階の屋根に付けることも珍しくなくなりました。
雪止めを付けることで、階下に落下して下のものを損傷させないことと、樋を雪の重量で変形させないことの2つの効果があります。
工期、予算(費用・価格)等のまとめ
工事の内容
- 平葺き
- 上裏、屋根下地の張替え後、該当部分を葺き替えました。
瓦はすべて既存のものを使用しています。
- 雪止め
- 1階屋根に雪止めを瓦を設置しました。
- 棟
- 平葺きと同様、該当部分の棟を積み替えました。
瓦はすべて既存のものを使用しています。
- 木工事
- 上裏と屋根下地を張り替えました。
工期、工事費用等の内容
- 工期
- 10日間
- 費用
- 100~150万